認知症ケアの要諦は、本人の意思を尊重し、本人の望む生活を維持継続することだということができます。
認知症になっても、可能な限り本人の希望する、今までの生活を継続するためには、認知症者が尊重され、自信と尊厳を持って暮らすことのできる地域づくりをする必要があります。認知症になっても、医療・介護・福祉などによって、可能な限り、以前と変わらぬ生活を継続するために、どのように地域を変える必要があるかを調査研究しています。
神戸市をコホートに、自治体の協力のもと、自治体の施策に協働する形で調査研究を行い、神戸市全域において、認知機能が低下した人々が、何を希望し、何を必要としているかを調査し、その結果をもとに、神戸市が行う認知症にやさしいまちづくりに貢献したいと考えています。
In the research project course of “Dementia Friendly Community” of Kobegakuin University multidisciplinary research related to dementia is being done. We also collaborate with researchers from various universities and research institutions. Since 2013, we have entered into a partnership agreement with Kobe City and participated in the "Dementia Initial Phase Intensive Support Model Project".神戸学院大学総合リハビIn April 2017, we decided to open a donation research project course at Kobegakuin University due to an agreement with Kobe City regarding the establishment of a donation course related to the enhancement of dementia measures with Kobegakuin University. The course name is "Research project for Dementia Friendly Community". With Kobe City as an action target of "Dementia Friendly City", this is a research project that aims at early diagnosis of dementia, early intervention, life support, and building a regional collaboration system, and conducts comprehensive research and development in collaboration with Kobe City and Kobe Life Science Cluster companies.
Based on the "Dementia Friendly City" ordinance established in April 2018, Kobe City is carrying out dementia measures called "Dementia Kobe Model".
"Dementia Kobe Model" consists of three systems. One is the dementia diagnosis support system, the second is the dementia accident relief system, and the last is the post-diagnosis support system.
Maeda has been involved in the city's dementia business as the city's dementia control supervisor since 2013 when the city of Kobe started a model project of the dementia initial intensive support promotion business. From spring 2017, we participate as "committee for town development regulations that are kind to people with dementia" as a committee and participate in the regulations establishment of April 2018, and also a committee for diagnosis support subcommittee, accident relief sectional meeting, initial intensive support related subcommittee or I participate as a chairperson. In the "dementia Kobe model", when a diagnosis of dementia is received, it can be received without any personal burden.
There are already more than 7,800 Kobe citizens who wish to have a medical examination using this system. Dementia diagnosis and support programs have been implemented in some other municipalities, but only a small number of users.
It is unclear why the system in Kobe City has so many users like this, There are several possible reasons, but one is considered that it has started with the accident relief system. If a person with dementia has an accident, a claim may be made against the family. As people do not want to cause trouble to family, we are going to take a diagnosis to take out the liability insurance which the city has joined.
It is also considered necessary to clearly present the benefits of early diagnosis of dementia.
神戸市では2018年4月に制定した「認知症の人にやさしいまちづくり」条例に基づき、いわゆる"認知症神戸モデル"という認知症施策を行っています。
"認知症神戸モデル"は三つの事業からなっています。ひとつめは認知症診断助成制度、ふたつめは認知症事故救済制度、そして最後は診断後支援制度です。
前田は2013年、神戸市が認知症初期集中支援推進事業のモデル事業を始めた時から、市の認知症対策監として、市の認知症事業に関わってきました。2017年春からは「認知症のひとにやさしいまちづくり条例」推進会議に委員として参加し、2018年4月の条例制定に関与するとともに、診断助成部会、事故救済部会、初期集中支援等関連部会に委員あるいは委員長として参加しています。
"認知症神戸モデル"では、認知症の診断を受ける場合、自己負担なしで受けることができます。
この制度を利用して受診を希望する神戸市民はすでに1万1千人を超え、1550人が認知症の診断を受けています。認知症の診断助成制度は、一部の他の自治体でも行われていますが、その利用者は少数にとどまっています。
神戸市における制度が、なぜこのように利用者が多いのかの理由は不明であるが、いくつかの理由が考えられ、ひとつは事故救済制度と共に始まったことです。認知症のひとが事故を起こした場合、家族に対して損害賠償請求がなされる場合があります。家族に迷惑をかけられないので、市が加入している損害保険に加入して診断を受けようというものです。
他にも認知症の早期診断のメリットについて、わかりやすく提示する必要もあると考えられています。
「認知症のひとにやさしいまちづくり」推進会議や部会に参加しています。
認知症初期集中支援推進事業の支援や「オレンジチームコーディネータ-連絡会」「効果検証ワーキンググループ」に定期的に参加し、オレンジチームと連携して、初期集中支援事業の円滑な推進を後押しする活動を行っています。
神戸市及び市医師会在宅ケア・介護保険委員会が開催する認知症サポート医フォロアップ研修等に協力しています。
認知症疾患医療センターと協働して、専門医療相談,日常生活相談,認知症サロンなどの充実に取り組んでいます。
認知症スーパー・サポーター養成講座の研修会講師をしています。
2018年度より神戸市長田区で運営しているオレンジカフェ(認知症カフェ)をスーパー・サポーターのボランティア活動場所として提供していく予定です。
本講座では医療産業都市構想に進出している認知症の医療・ケアに関連する企業等との協働を行っています。
現在はAikomi社と共同で認知症のひとの現在はAikomi社と共同で認知症のひとの無関心、意欲低下などの陰性症状の改善をターゲットに、認知症のひとの五感を刺激する装置Aikomi systemの開発を目指しています。
2017~2020年、(株)生命科学インスティテュート並びに(株)トータルブレインケアと協働して、タッチパネル式の認知機能測定ツールである「脳活バランサー」(https://tbcare.jp/)の有用性を検討することを目的とした開発研究を行いました。
タッチパネル式認知機能測定機器であるトータルブレインケア社製「脳活バランサー」の有効性を検証する研究は、複数機関や施設において行われましたが、この度、より強固な知見を得るために各機関で得られたデータを統合し、論文や学会発表などの方法で情報発信する運びとなりました。本学の研究に協力していただいた方々へは改めましてこころより感謝申し上げます。このことと関連し下記で具体的なご説明をさせていただきますが、本告知に対して協力を望まれない方は遠慮なくお申し出願います。お問い合わせやその方法につきまして下記をご参照ください。
【利用目的】高齢化が進む日本では認知症の有病率が高まる一途であり、より早期に、認知機能の軽微な低下などの初期症状を鋭敏に検出し、早期治療・早期介入に結び付けることが大切です。このような目的の下、過去に本学で実施された、以下の「脳活バランサー」の有効性の検証研究にて得られたデータは、他の複数機関で得られたデータと統合され情報発信されることにより、有効性を検証するためのより確かな情報として利用されることになります。
本学で行われた研究名: | 軽度認知障害並びに初期アルツハイマー型認知症における脳活バランサーを用いた評価の有効性および妥当性の検討 |
研究目的: | 近年、軽度認知障害(MCI)および初期アルツハイマー型認知症(AD)への意向を検出する鋭敏なスクリーニング検査は多数開発されているものの、いまだにその有益性については不明なものも多いのが現状です。脳活バランサーは簡易な方法により認知機能の程度を確認し、かつトレーニングすることを目的に開発され、全般的な認知機能を多角的に検証することを可能にすることが期待されています。このことから、本研究は、MCIや初期AD、健康な高齢者を対象として、脳活バランサーの有効性と妥当性を検討することを目的としました。 |
研究実施期間: | 2017年 8月 ~ 2018年 11月 |
研究実施場所: | 神戸学院大学、神戸市健康づくりセンター健康ライフプラザ、北須磨文化会館、鳥羽コミュニティーセンター、ウィズ明石 |
【方法】本学の研究に協力していただいて得られた皆様のデータは、個人名を記号化することにより、個人の識別が不可能な形で利用されます。よって個人のプライバシーは確実に保護されます。
*印は、研究機関、または企業における責任者です。
本研究で得られたデータは、上記の大学および企業によって統合、解析されます。このことと関連して協力を辞退されたい場合は、下記の総合相談窓口までご連絡願います。本研究に関連する様々な事案は以下でご対応いたします。
責任者氏名:前田 潔
所属:神戸学院大学総合リハビリテーション学部
住所:神戸市西区伊川谷町有瀬518 15号館7階
電話番号(FAX):078‐974‐5094
メールアドレス:
郵送、メール、電話やFAX等で承ります。
当講座では認知症の理解を深めることを目的に毎年市民公開講座を開催しています。2020年はこの新型コロナウィルスの感染が収束すれば開催する予定です。
2019年1月より神戸市で施行された「認知症診断助成制度」と認知症と診断された方への損害賠償保険(認知症事故救済制度)への加入、GPS機器の貸し出し、診断を受けたあとの支援ニーズに関しての調査や、認知症診断助成制度を受け軽度認知障害あるいは初期の認知症を診断された人の受診動機、支援ニーズを調査し、認知症の人の意思決定支援を行うための環境構築にむけた研究を行いっています。Psychogeriatrics 20 (1): January 2020, https://doi.org/10.1111/psyg.12505
「認知症診断助成制度」,「認知症事故救済制度」は神戸市民にとって認知症の早期受診を促進する結果となっています。この制度を利用して認知症の診断を受けた方の調査をすることで認知症の早期受診の理解に多大な貢献をするものと考えられます。
明舞地域をコホートに認知症の早期受診を促進するためにはどのようなことが必要かを調査研究します。(令和2年度学術振興会科学研究助成費)